【正解するマド】読者よ、どうか正解されたい。
えみる:どうも、こんばんは。先日もブログを更新したばかりですが、本日読了した乙野四方字先生『正解するマド』が素晴らしい出来だったので、取り上げたいと思います。
まずは、スピンオフ元のアニメ『正解するカド』から。
アニメ自体はもう終わりましたが、ぐいぐいと引き込まれていくSF的な謎と、原作がないことから一部のファンを熱中させたアニメです。その終わり方には若干議論の余地はありますが、途中まで感じたあのどきどきはセンス・オブ・ワンダーだったはず……。
すべての元凶、ヤハクィザシュニナ。
彼がこの宇宙に姿を現すところから物語は始まります。
四十の次元からなる宇宙に住む、この宇宙に種を撒いた者。いわば神。
彼はその宇宙からのオーバーテクノロジーな品物を人類に供与します。
なかでも『ワム』と呼ばれるものは、人類に無限の電力を与えました。しかもそれは理解さえすればご家庭で勝手に作ることができるもの。独占すら発生しない無限のエネルギー。『食べきれないほどのパン』を手に入れた人類の、『正解』とはなにか。
他にも、『サンサ』は平行宇宙の自分を認識する能力を与え、『ナノミスハイン』は重力制御、慣性制御、質量制御まで行うことができます。人類はもはやヤハクィザシュニナ以前には戻れません。ヤハクィザシュニナの狙いとは。
――という設定のSFです。
これだけぶっ飛んだことをしているのですから、当然、この物語はこの物語で完結しています。片付けられること前提で、これだけ好き勝手散らかしたのですから。
さて、そんな中、アニメが終わった後に出たこのスピンオフ小説。
続編? いや、そんなもの出来る余地はほとんどないはず(ひとつだけありますが、おそらく文字では表現できないものなので、まずありえません)
アニメ時間軸の別視点? まぁ、それもあるかなあと思いますが、基本的にヤハクイザシュニナは密室でしか絡んでいません。異方のアイテムを用いた、一般社会のトラブルや事件は見てみたい気もしますが――。
それとも唯のノベライズ?
という、何をいまさら描くんだろうという気持ちでいっぱいだったのですが、あらすじを見て仰天しました。
野崎まどが脚本を手がけたTVアニメ『正解するカド』のノベライズを依頼された作家は、何を書けばいいのか悩むあまり精神を病みつつあった。次第にアニメに登場するキャラクター・ヤハクィザシュニナの幻覚まで見え始め……
メタメタしい……w
実際読み進めていくと、筆者がいかに野崎まどのファンであるか、筆者がどのような人生を送ってきたか、ということが、ヤハクィザシュニナの幻覚とともに語られていきます。
さらには、このノベライズの文章を、文章中の作者が書いている設定なので、『いま起こっているところまで書けてしまってどうしよう、書くことがない』みたいな悩みまで出てきます。メタい!
ですが。
途中から一気に引き込まれ、最後には『ああ、たしかに正解するカドのスピンオフ小説だわ……』と頷いてしまいます。激しくネタバレになるため、あまり詳しくは語れませんが。
この乙野四方字(おとのよもじ)さんという方、いままで読んだことはなかったのですが、この作品でぐっと好きになりました。彼のSFも読みたいのですが、彼が勧める野崎まどのほかの作品も読んでみたい……。
読みたい小説がたくさんあって、幸せです。
ちなみにこの方、品輪彼方博士が好きみたいです(わかる。)。
野崎まどの2ってこういう薦められ方するよね pic.twitter.com/P98atinakX
— 山田えみる@日曜東Q01aクロックワイズ (@aimiele) 2017年7月8日
完全に野崎まど劇場ーーと思ったら、そう書いてあった pic.twitter.com/VKvlBKWWKp
— 山田えみる@日曜東Q01aクロックワイズ (@aimiele) 2017年7月8日
そんなの子供だって知ってますよ、にして欲しかったknowファン。 pic.twitter.com/OQv275oHGt
— 山田えみる@日曜東Q01aクロックワイズ (@aimiele) 2017年7月8日
いやー面白かった!すごいなこれ。 pic.twitter.com/HwwGjJe8A7
— 山田えみる@日曜東Q01aクロックワイズ (@aimiele) 2017年7月8日