や・や・やまだ(ラ・ラ・ランドと掛けています)
えみる:みなさん、こんばんは。水曜日更新でと記事を渡したのですが、昨日山田は一晩中デッキを弄っていたようで、更新を忘れていたようです。蹴っておきますので、よろしくお願いします。
山田:ご褒美です。
えみる:先日、ねこいぬ(ペンギンタイガーのフレンズ)から以下のようなTweetがありました。
@aimiele じゃあ言うわ。「あり得たかもしれない道」と向き合っても、えみるさんにはきちんとラストで頷いてほしい。「いろんなことがあったけど、結局乗り越えて自分の人生に納得してるんだ」ってことを今以上に確信できるように、是非観て行って欲しいと思った。
— ねこいぬダイバーダウン (@Neko_Inu_) 2017年3月19日
えみる:『ララランド』には興味があったのですが、なんとなく見るタイミングを失ったままだったので、このあいだの月曜日に見に行った次第です。
歌、踊り、ロマンス満載な #ララランド 本予告映像が到着💖
— 映画「ラ・ラ・ランド」公式 (@lalaland0224) 2016年12月22日
切なく物悲しいピアノの音色とともに出会う2人―
『セッション』を彷彿とさせるアップテンポな楽曲とともに深まる2人の関係、そして圧巻の映像美があなたを幻想世界へ―✨全編吹き替えなしの歌にダンス、ピアノをご堪能あれ🎵 pic.twitter.com/yVJjvYFv4W
えみる:トーキー映画や白黒映画の時代からの映画史を踏まえて語るべき映画なのは重々承知ではあるのですが、わたしにはそんな知識はないため、別の切り口で感想記事を書きたいと思います。
えみる:おそらく多くの批評で書かれている『映画のための映画』。わたしもそう思います。なお、この記事における『映画』は『創作』に読み替えてもらっても通じます。
えみる:評判の高いOPですが、たしかに引き込まれました。夢を叶える場所へと向かう渋滞の中、群衆が車から飛び出して、ミュージカルを踊るのです。これは『約束』だと思いました。『これからお見せするのは映画である』という約束です。前提条件の呈示です。
えみる:いわゆる『映画』というものは、非現実的なものが多くあります。例えばスタッフロール、BGM、カメラワークでさえ現実にはありえませんよね。非現実的です。ミュージカルなどはそれが顕著です。
えみる:しかし、わたしたちは映画のキャラクターに感情移入し、時には非現実的なものにリアリティを感じます。
えみる:『魅せるために必要な嘘』とか『リアリティ強度』とでも呼べばいいんでしょうか。ざっくり、以下のようなレベルがあると考えます。上にいくほど、リアリティ強度が強いものです。
①実録・ドキュメンタリー
②過剰にリアルな、つまらないフィクション
③結論としてリアリティを重視した、主に悲劇のフィクション
④適度にリアリティを感じる、大団円のフィクション
⑤荒唐無稽で、ご都合主義的であり、リアリティを感じないフィクション
えみる:わたしたちが創作物として『面白い』と感じるものは、④でしょう(いろんな異論は認める)。たとえば、何の変哲もない男性の一日を一挙手一投足まで綿密に描いた作品は面白くありません(②)。かといって、なんでもしていいわけではなく、一定のリアリティラインを守らなければ、デウス・エクス・マキナになってしまいます(⑤)。
えみる:この映画では、夢を追いかけるふたりの男女が描かれています。売れないが、自分の思い描くJAZZを追求したい男。女優を目指す女。運命的な出逢いから彼らは惹かれ合いますが、夢へのチャレンジは失敗続きです。
えみる:女は自分の納得のいく芝居を自腹で公演するために奮闘しますが、席はガラガラ。男は資金を得るために、バンドに参加して成功するのですが、それは自分のやりたい音楽ではない。ふたりの関係が軋み始めたころ、女の夢を叶える道が拓けます。
えみる:そして、お互いの夢を実現するためにふたりは別れます。次にわたしたちが目にするのは、数年後、映画のスターとして大成し、別の男性と結ばれているヒロインの姿です。ここで③のリアリティを重視した悲劇のフィクションに舵が切られるのを感じます。なんでもかんでもうまくはいかないよ、って感じですね。
えみる:その後、OPを彷彿とさせる渋滞の描写が入りますが、ここでヒロインとその旦那は渋滞を回避します。彼らは夢を叶える場所へと向かう渋滞に並ぶ必要はもうないのです。
えみる:しかし、偶然、同じく夢を叶えた主人公に出逢います。そこからがこの映画の醍醐味であるところなのですが、ふたりの『あり得た未来』が描かれます。チープで、むやみに明るく、すべてがうまくいく世界。
えみる:⑤荒唐無稽な(ご都合主義的であり、リアリティを感じない)フィクションですね。ここで描かれているのは、ただただ、すべてがうまくいっている、ご都合主義的で、自分たちが『主人公』である世界であり、『幻想』です。
えみる:いままでこの映画は、『③結論としてリアリティを重視した、主に悲劇のフィクション』を描いてきました。一目惚れなど映画的なロマンスがありながら、手放しであらゆる賞賛を得られない世界。チャレンジは容易に成功せず、夢を選び取るためには、恋人と別れなければならない世界です。そこから見る、選べたかもしれない理想の世界。
えみる:そもそも映画というものが、現実ではありえない理想や夢を見せるものであることを考えると、『映画』という構造そのものを利用した、そのメタが、わたしがこの映画を評価するところであります。
えみる:いわゆるワナビに見て欲しいと思うのはここです。実際、夢に押しつぶされかけた経験のあるひとには強く、強く、響くことでしょう。
えみる:幸いいまのえみるさんは、その世界を見て、いまの選び取った世界を見て、頷くことができますが、こじらせているときには『うみゃみゃみゃー!』ってなって木を登り始めたでしょうね。
えみる:ちなみにOPはこちらです。渋滞の中、いきなり車から飛び出して踊りだす群衆に対する恐怖が繊細に描かれていますね。
@hachicoxx つ『ラ・ラ・ランド』オープニングのパロディー動画がめちゃくちゃ面白かったので、勝手に日本語字幕をつけてみた。ネタバレ注意です! pic.twitter.com/VkHStKCkVa
— あずま (@azuma417) 2017年3月10日
山田:こちらの紹介記事もおすすめです。
ネタバレあり! 映画『ラ・ラ・ランド』批評と考察、感想も少し なぜこの映画は『ジャズ』なの? https://t.co/nRDqWp8fon 見てきました!!!(*´ω`*)
— 山田えみる(*´ω`*) (@aimiele) 2017年3月20日